介護の現場では、認知症を患った要介護者への介助作業も行われます。しかし、認知症の方は脳の認知機能が低下しているので、介護職の言うことに対して適切に対処することができないことも少なくありません。過去の記憶と現在の状況を混同することもあり、その言動は支離滅裂になることさえあるようです。そのため、介助についてもなぜ他人が体を触るのかが理解できず、拒絶してしまうことも珍しくはないのです。
しかし、だからといって認知症であることを理由に介護を放棄することは避けなければなりません。そのため、介護職はいかに柔軟に対応するかがポイントになります。例えば、介護で最も重要な点は安全を確保することですが、認知症の方は多くの場合、他人に介助される必要性が理解できていません。ですから、強引に介助作業を行うとお互いに大きなストレスとなるので、認知症の方の介助を行う場合は、丁寧に声掛けを行い、安心感を持ってもらいましょう。もしも声掛けをしてもいい反応が得られないときは、本人が好む話題を振って、注意を引くことから始めてみてください。
また、認知症の方の多くは、暗い所だと普通の方よりも強い不安を感じる傾向にあるので、介助作業は明るい場所で行うようにしましょう。自然光が差し込まないような場所なら、照明を使って明るくするなどの工夫もが必要です。認知症の方の介護は、一般的な要介護者の方の介護よりもはるかに体力や気力を要しますので、事前に※正しい知識で認知症をケアしよう※のようなサイトを利用して、ケア方法を学んでおくといざというときに役立ちますよ。