介護の現場が抱える認知症ケアの問題について

加齢や病気などの理由で脳の機能が正常に働かなくなる病気のことを認知症といいます。症状は様々であり、投薬治療で症状の進行を遅らせることはできるものの、一度発症すると完治はしないのが特徴です。また、認知症は生活環境の変化などによって大きなストレスを感じると急激に症状が進む傾向があるので、自宅にいる時は目立った症状がなくても、介護施設に入所すると症状が進行し、家族の顔も分からなくなるといったケースもあるようです。

しかも、若い頃の価値観に固執している高齢者の場合は、例え体の自由が利かなくなっても第三者に介助をしてもらうことを恥ずかしいと考える人もいるので、自身の価値観とはそぐわない介護サービスを受けることで大きなストレスを感じてしまい、認知症が進んでしまうことも少なくありません。ですから、介護の現場においては、認知症の要介護者への接し方が大きな課題になっています。

認知症が進行している方の場合は、判断力が通常よりもかなり低下しているので、中には自分が介護施設に入居して介助を受ける立場にあることを理解できていないこともあります。そのため、見ず知らずの他人に体を触られるのを嫌がり、力任せに抵抗することもあるでしょう。また、認知症の人は被害妄想を抱くこともあるので、窃盗や暴行の被害を受けたと言い張ることもあります。ですから、介護職は不快感を感じても、それを表に出さずに、おおらかな気持ちで接していかなければなりません。ただし、それは容易なことではないので、常にどの現場でも悩みのタネになっているのが現状です。